7月31日(火)  ザ☆ピ〜ス!

最初に聞いたのはいつだったかな、ネットに落ちてるという未確認情報で探し回って、もせをgetしたのが、たぶん、発売の1週間以上前だったと思います。そんときの感想はたぶん「ふーん」てなもんだったような。なんかピンとこなかったというか、手応えがあるようなないような、不思議な感触でした。私以外にもそういう人、多いんじゃないかな。

でもって、ようやくフライング発売日。CD音源で聞いてみて、改めて思ったのが、これまでの娘。の曲調とはずいぶん違うんだということと、その曲のできのよさはもちろんですが、歌詞カード見てようやく分かった、歌詞がメチャメチャ素晴らしいということでした。

結論からいうと、これは「名曲」ですね。そう断言したいです。未来という名の無に向かって勇気をふるって飛び込んだ、そしてそこに新たな世界を発見したような曲だと思います。この曲を聴く時の何とも言えない奇妙な感触は、ノイエスの香りのように私には思われます。よくぞ娘。というビッグビジネスでこんな冒険をやったもんだ。

さて、歌詞が聞き取り辛いというのは、歌詞を言葉として聞くなということです。この素晴らしい出来具合の歌詞をなかば捨て駒に使うという、あるいは気がつく人に気づいてもらえばいいという奥ゆかしさ(という表現が適当でなければ傲慢さ!)には呆れてしまいます。

細かな論評は既にあいださんの評価があり、ほぼ同意ですので、そちらに譲りますが、一言付け足すとすれば、この歌詞はこれまでのつんく作品の中でも最高傑作の一つではないかということです。そう評価したいくらい巧妙にして精緻に作り込まれています。

歌詞の主題は「愛」ですね。現実の世界を正視し、働きかける、現在をそして未来を引き受けるということを表現していると受け取れます。あるいは、エロスがアガペーへと昇華するとでも表現すれば、より相応しいでしょうか。言葉の魔術のような、超絶技巧の歌詞です。いやまいった。

カプリングの「でっかい宇宙に愛がある」ですが、歌詞は素晴らしいの一言なんですが、曲的には物足りないものを感じざるを得ません。ストレートな作りを狙ったのかも知れませんが、私の好みとしては、もうちょっと大仰なのが良かったかな。

で、こちらは「ザ☆ピ〜ス!」とは違って歌詞がはっきり聞こえます。主題は「ザ☆ピ〜ス」同様「愛」ですが、はるかに平易な表現になっていて、メッセージとして伝わることを期待していると思われます。けれども現代日本では「愛」は不遇ですから、その意味が作詞者の意図通りに伝わるとは、少なくとも私には思われません。

私なりに誤解を恐れずに解説を加えるなら、ここで歌われる「愛」は、とてもキリスト教的な「愛」です。このまま牧師さんのお話として紹介しても違和感はありません。ほとんど意識されることのないような身近から、宇宙の果て、無限遠までを包括する神の「愛」ということです。私たち人間には、この「愛」を取捨選択する自由などなく、この神の「愛」に気が付けるか付けないかだけなのだということです。

神懸かっても引かれるだけなので、少し表現を慎んだほうがいいんでしょうが、"I WISH"以来共通する、この「愛」の表現は、手垢の付いた言い回しですが「日本人離れした」ものを感じざるを得ません。"I WISH"同様、まっとうに評価されるとは思われないのが残念ですが、そんなことを意に介することなくエンタテインメントに奉仕させるという姿勢(だからカプリングはもっと大仰にすれば良かったと思うのですが)には、ただただリスペクト以外ありません。

調子に乗って少し大風呂敷を広げてしまうと、この「愛」は、理論物理学の世界で「斉一」と呼ばれる概念と等価です。それは「無償の愛」であると同時に極限の残酷でもあります。今回の2曲の歌詞を眺めつつ改めて思うことは、作詞者が、この私たちが住む世界のあり方に自覚的であること、この世界の「愛」と「残酷」を、しかもそれが表裏をなしているという現実を正視しているということ、さらにはそんな世界を引き受けようとしているということです。

今回もまた、アイドルである娘。の新曲として、エンタテインメントとして、この2曲は消費されていくのでしょうし、それで十分素晴らしいことだとは思います。ただ、その背後にはっきりと刻まれている意思表示、覚悟のほどを、私にできることとして目を背けることなくしっかりと見つめていきたい、そう思います。



7月30日(月)  再開

突然ですが再開することにしました。

3月末、急激に意欲が薄れました。いわゆる「鬱だ氏のう」状態に陥ってしまいました。原因は様々ですが、匿名人格的には、やはり中澤さんの脱退と後藤さんのいわば「天才」ぶりが効いたみたいです。一言で言って、なんかアホらしくなったというか、音楽、いや、主に娘。を巡ってですが、エラソに議論らしきものをでっちあげて悦に入っている、そんな自分に醒めてしまったというか・・・。こうやっって言葉にするとありがちな話かもしれませんが、ま、要はやんなっちゃったわけですわ。

もともと私、ポップスの基礎知識がほとんどありません。邦楽でまともに聞いていたのはユーミンぐらいで、それもup to dateではありませんでした。洋楽となるとてんで知りません。ちなみに一番好きなのはチャイコフスキーにブルーノ・ワルターだったりします。もともとのところで無理があったのかも知れません。

では、いまごろになってなんでまた再開などするのかといえば、単純に娘。の新曲「ザ☆ピ〜ス!」がおきにになっちゃった、そんだけのことです。100回以上聞いて、そんでもってすっかりハイになって、その勢いで鬱がふっとんだということです。アホですわ。

でもって、心機一転、ページのデザインからコンセプトから総取っ替えすることにしました。ホームページのデザインは見ての通りのネガポジ反転。コンテンツも、従来の娘。中心を離れて、徒然なるままに幅広く手がけて、エセオピニオンサイトにでっち上げていく心づもりです。といいつつ、どうなることやら本人も分かってません。

従来のコンテンツについては、いちおう"Old Contents"の方にまんま残してありますが、今後どうするか決めかねています。いづれ大粛正ということになるかもしれません。まだページのリンクがおかしかったりしますが、のんびりやっていこうと思います。

ではあらためて「あーゆーれで、ひーやういご」






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