シュタイナーによれば、「感覚的な思考や表象は、わたしたちを取り囲む対象を感覚的に知覚することから発する。まず対象を見て、そこからその対象を記憶に保つ。そのような表象に刺激され、感覚的な思考を試みる。それを音楽に置き換えると、人は長調を通して、自分の感情が君臨するのを意識する。高い振動が貫けないと感じると短調を感知する。音楽の中には進化への予言のようなものがある。新しいエーテル体は音楽を通して振動する。そして、外的なエーテル体も振動しはじめる。」と、ある。
例えば音楽を聴く。その間は即ち、音楽により知覚し、その時間と共に思考は未来へと進む。それはどのような様式においても普遍であり、そこに、ある種の予言や期待を持つことが出来る。わたしたちは今の現在に於いても沢山の音楽を知ることが出来る。そして自由に聴くことが出来る。そうすることで自分と音楽との関係性を楽しむことが出来る。音楽が奏で作る時間と、音楽を聴き生じる時間。それは音楽と共に進む未来への時間となり、体現する自分自身への予言となる。弁証法のように音楽との対話を重ねることで得る認識を何度繰り返そうとも、時間は巻き戻ることなく先へと進む。
音楽により知覚し、未来へと繋ぐ思考とは、このような認識の扉を開ける必要である。わたしたちはこの扉の前で期待を持つことが出来るのである。
森川誠一郎