「ろびのスパイス」 by ろび

第4回「でちこんか2001 炎の祭典」(2001.10.25)

10月20日(土)、ようやく、私の夏休み(?)がやってきました。
南インドに行く予定は変更し、ライブと練習三昧。
今回は、忘れられない感動をくれたお祭りを記します。
それは、20日に行われた広見町の秋祭り、「でちこんか2001」。
予想をはるかに超えていました。
小さな自治体が、あれだけ素晴らしい大イベントをしていたなんて!

ステージは、奈良川河川敷。澄んだ水か流れ、さらさらという音色が耳に心地よい。
橋までびっしり埋め尽くされた、2500人は超えるであろう見物客の両脇には、
「ゴォーッ」という音を立てて燃え盛る大きな炎。
そして、幅15メートル、高さ2メートル以上はある大きなステージの脇は、色とりどりのライトがセットされ、
バックに生える竹やぶがライトで幻想的な緑に浮かび上がり、和の趣を醸し出している。

すっかり日の暮れた夕方6時、大きな太鼓の音が広見町の空に響き渡る。
(その頃、私たちallspiceは控え室で最後の詰めとネタ仕込みに必死)

今回出演団体は、5つ。登場順に

*松山市の「心参太鼓」、(和太鼓に惹かれた若者達で結成)
*千葉県の「銚子はね太鼓保存会」(銚子市の無形民族文化財)
* 松山市の「allspice」(私たち)
* 東京都の「天邪鬼」(世界を部隊に活躍する太鼓のプロ集団)
* 広見町の「魁」(この祭りを1年の目標に活動する広見町の太鼓集団、)

―――――つまり、太鼓の競演のなか、一つだけアカペラというわけ。

「でちこんか」は、「でてこないか」の方言。
10年ほど前から始まった広見町の祭りで、日本古来の楽器、太鼓をメインにした邦楽ライブ。
これに、アカペラを取り入れたのは、今年初めての試みらしい。
老若男女、幅広い層の客は、太鼓よりも古い人間の声でつくった音楽をどう感じるだろうか。

―PM.7:30
ステージに立つと、ライトがまぶしすぎて観客の顔は全く、見えなかった。
まるで霧に包まれた下界だ。そのせいか、不思議と緊張はない。
「上を向いて歩こう」で軽快に始まり、その後、「Rock Around The Clock」の替え歌を使って
おじいちゃん、おばあちゃんにも分かるアカペラ講座をした。
歌詞は、広見町観光名所を並べたもの。(みふぃた作)
まさにロックンロール県庁所在地もどき!これが、地元でウケないはずがない。
その他、谷川俊太郎イベントで歌った曲など日本語レパートリーを数曲披露し、
最後は、ヤングマン(もちろん西城秀樹バージョン)。
何が嬉しかったって、終わった後、MCの矢野ヒロミさんが、
「アカペラ、良かったと思う人!」と聞くと、会場全体が拍手で沸いたのだ。
そして、ステージから去る時に聞こえてきた、「ありがとーっ!よかったよー!」という観客の声。
胸が熱くなった。

(祭りを見に来てたうちの祖母は、帰ってからもずっと、
「アカペラ、アカペラ」と、嬉しそうに言い続け、親戚近所に電話して回ったらしい。)

感動は、それだけに止まらなかった。

トリを飾る地元広見町の太鼓集団「魁」は、この祭りに全てをかけていた。
太鼓を全身でたたくあの力強さと、目にも止まらぬすばやい動き。
しかも、全員の動きがびしっと決まっている。これを女性も加わってやってるから、なおかっこいい。
高さ3メートル近くはあろうかという大きな太鼓には、上に人が座り、上下からそれをたたく。
演出も凝っていた。ステージからスモークが吹き出し、色とりどりのレーザー光線が、
層や波状になって客席を包み込む。その動きは、太鼓の音と一寸も違わない。
誰もがステージにくぎ付けだった。

祭りのフィナーレは、出演者全員で「シャラララ〜♪」という歌にあわせて
客がいなくなるまで見送るスタイル。
すると、客がステージまで近づき、「ありがとう!」と手を振って帰っていくのだ。
そして、汗びっしょりの太鼓集団の代表が出演者全員と握手を交わす。
―――皆が同じ充実感を共有できた瞬間だっただろう。

河川敷という風情あるシチュエーションと完璧に近いステージング、演出。
そして、町内外から集まった2500人を超える見物客の中で歌うことができたことは、
私たちにとってかけがえのない宝だと思う。

そしてこの日、私にとって、2?回目の忘れられない誕生日となった。
祭りの後のHAPPY BIRTHDAYを歌ってくれたみんな、ありがとう。感動しました。

またいつか、あの場所で歌い、あの充実感を一緒に味わえたらいいな。
(ついでに、安森鍾乳洞のそうめん流しと奈良川のいもたき、もねっ!)