「きいの音楽室」 by きい

第3回 〜発声についての私見…その1〜(2001.9.14)

allspice内で唯一「声楽を専門に勉強したことのある」私ですが・・・
そういえばallspiceのメンバーには一度もヴォイストレーニングしたことないなあ。

僕の発声についての考え方って、ちょっと普通と違うから、
なんかみんなに「引かれて」しまいそうで・・・いや、違うな。
メンバーの性格が「濃すぎる」ので、
発声について「教える」なんて考えただけで怖くなってしまうから?

前置きが長いですね・・・とにかく、今回は、
私自身がヴォイストレーニングをするに当たって気をつけているポイントを、
とりあえずひとつだけ述べることにします。

ポイントその1【顎関節および舌根の脱力】

「なんのこっちゃ?」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
実は、「響く」声を出すためには、「口の中を大きくあける」ことが不可欠なのです。

普通の人は、「会話」に必要な分量しか口を開きません。
でも、歌を歌うためには、日常のレベルの口の開け方では全然足りないのです。
口そのものを開けるというよりも、「顎関節を開く」と表現する方が正確だな。
オペラ歌手、テレビとかで見たことあります?
高い音をのばす時など、かなり顎の関節を開いているんですよ。

顎関節を開く・・・一見簡単なようですが、実はなかなか難しいことです。
一般の人にとって、顎関節はそう楽に開けられるものではありません。
ふつう、顎関節を大きく開いた時には力が入り、硬くなってしまいます。
そうそう、単に「大きく開ける」だけではなく、
柔軟に、脱力した状態で開くことが大事なのです。
それにはトレーニングが不可欠なんです。

もちろん、実際に歌を歌うときには不自然に口を開ける必要はありません。
しかし、スポーツ選手のトレーニングを連想してみてください。
彼らは、実際に試合で行う以上にストレッチをしたり、筋肉を激しく使ったりするでしょ?
・・・そうすることによって、より大きく、柔らかく運動することができるようになるのです。

僕の場合、具体的には、
まず「あ」の発音でトレーニング(っていうかウォーミングアップ)します。
・・・たとえばドレミファソファミレドの動きで
その時、下顎が下の方に落ちてしまうくらいに、
できるだけ顎関節を大きく開けて声を出します。
この時大事なのは、はっきり「あ」と発音すること。
・・・もちろん、顎関節は脱力した状態でね。

同時に、もうひとつ気をつけることがあります。
声を出しているときに手鏡を持って口の中を見てもらえば分かるのですが、
高い音になればなるほど、舌がぐっと奥の方に下がっていきます。
高い音を出すときに声が固くなってしまう人は、例外なくこの状態に陥っています。
「舌根=舌の根本」に力が入っているのです。
舌はあくまでも脱力した状態でなければなりません。
(僕の場合、舌の先が下の歯の付け根から離れないように注意しています。)

さて、「顎関節を柔軟に大きく開く」「舌根をリラックスさせる」
この2つが両立できれば、あなたの声量もぐっとアップするはず・・・のはず・・・はずよね?
 
もちろん、上記のことは「腹式呼吸」という呼吸法とも密接に関わっているので、
そちらの方にも気を配らなければなかなかできないのですけど・・・

ってなわけで、次回は、「腹式呼吸」について私見を述べてみたいと思います。