「お外でお歌!allspice的アウトドアの勧め−by にしくぼん

第5回 同じ「ボード」なのにねえ・・・。2002.2.1)

その昔、イギリスの登山家ジョージ・マロリーは、「なぜ山に登るのですか」との問いに
「そこに山があるから」(Because it is there.)と答えたという・・・。

これぞアウトドアラーの真骨頂!と感心していたんだけど、このセリフ、
面倒臭い記者の質問をあしらうための台詞だったというのが真相らしい。

オレの場合、「なぜ海に潜るのですか」と聞かれたら、
そりゃもちろん「美味しい魚介類がタダで食べられるから」。
そりゃ究極の採れたて新鮮食材だけに、売り物とは味のレベルが違う。
一度味わうと、お店でサザエやウニを注文するのが馬鹿らしくなる。

マロリーはエベレストに登ったまま還らぬ人となり、
75年ぶりにミイラ化した遺体で発見されたが、
「彼はエベレスト初登頂に成功したのか」論争は未だに続いている。

登山家がエベレストで死ぬのは本望かもしれないが、
我が兄でーもんは、海版マロリーになりかけたことがある。
「潜りやすいやんか」という理由で、漁の時にはいつも潜水用の重りを体に捲く彼。
その重りって普通はウェットスーツの浮力を相殺するために巻くんだけど、彼の場合は海パン1丁。どう考えても異常である。
常々「そのうち死ぬかも」と心密かに思っていたが、ある日、ついに危機が訪れた。

いつものように、獲物を狙うスナイパーの目つきで海に繰り出したでーもん。
毎回、獲物袋が足手まといになるので、浮き輪に獲物袋を縛り付けて、自分の真上に浮かべておくという方法を試してみることに。
うまくいくかに思えたこの方法だったが、すぐに悲劇が起こった。
何と、浮き輪が流れてしまわないように腰と浮き輪をつないでいた紐が、彼の両足に絡まってしまったのだ。
普通なら手の力だけで浮上できそうなものだが、悲しいかな、腰の周りには重りが2つ。
バタバタもがいているうちに気が遠くなり、「ダメかも」と思ったらしい。
そして彼は還らぬ人となり、75年ぶりに漁礁化した遺体で発見されたが、
「彼はアワビGETに成功したのか」論争は未だに続いている。

幸い、そんなことにはならず(そんな緊急時でも獲物のサザエ、アワビだけは決して無くさず)、命からがら引き揚げてきた彼。
その後も懲りもせず「海で死ぬのは本望じゃー」と言いながら、重りを愛用していたという(さすがに浮き輪はやめた)。


さて、11月下旬までウェイクボードをするほど海好きなボクだが、
真のアウトドアラーになるべく、今年からスノボーにも挑戦してみようと決意!
実は学生時代に、「教えてあげますよ」
という後輩の戯言にまんまとだまされて2回ほどハチ北(兵庫県)に行ったことがある。
が、1度目は到着早々リフト降り場に放置され、帰るときまで置いてけぼり。
挙げ句の果てには「ついて来てくれないと教えられないじゃないですか」
と、ソクラテス顔負けのパラドックスなアメリカン(?)ジョークを言われる始末。
今度こそと満を持したはずの2度目は、高熱でダウンしてロッジでお休み。
まともな滑りは今シーズンが初めてだったのだ。

というわけで、今回のテーマは「スノボーとウェイクの違い」。
板の形がそっくりなので、ウェイク感覚で簡単にマスターできると思いきや、これが難しい。主な相違点を順を追って挙げると、

@重心
 《ウェイクボードはロープに張力(テンション)をかけ続けないといけないので、
  どうしても上体を後方に預け気味になる(ただし、体重は左右の足に均等に)》

 その感覚でスノボーをすると、接地面に対して斜め後ろから加わる力が大きくなり、
 スピードが出過ぎてあっという間の直滑降。怖い。

Aブレーキ
 《船に引っ張られるウェイクボードにブレーキは存在しない。
  スピードは操船者のなすがまま。止まれたらすごい。
  あなたのパワーは90馬力(マイシップの場合)以上ということになる》

 そんなわけで、直滑降しながら気付いたのが
 「どうやって止まるの!?」
 思ってる間にどんどん加速されましたとさ。

B痛い
 《ウェイクボードはゲレンデが海。転んでもそう痛くはない。
  だから気軽にジャンプなどの技に挑戦できる。
  それでも、勝手な想像で
  「雪だってソフトそうじゃーん」
  と思っていたが・・・・・・》

 減速の仕方もろくに分からず、勝手に加速しながら出した結論は、
 「転べば止まるやんか」
 これが甘かった。
 尻餅をつくと同時に、階段を転げ落ちるスタントマンのように体が大回転。
 そして、その回転に沿って、当然の如く・・・めちゃめちゃ痛い!!!
 直系2mほどの美しい雪の花を舞い上げながら、浅はかな考えを呪いました。

帰宅後、体中に刻まれたあざの数々を眺めつつ、
「アカペラもスポーツも、基礎からの練習が大切だな」
と実感。みなさんも、無茶なプレイは控えようね!!

さあ、今回はこの辺で。
「次回予告どおりに書いたことあるの?」という冷ややかな目にめげず、
次回は今度こそ「船って大変だー!」
期待して待っててね!