第38回宇都宮大学混声合唱団定期演奏会

2005.1.25(日) 於 栃木県総合文化センター メインホール

 音楽集団のチャリティーコンサートやクリスマスコンサートなどにおいてお世話になった縁で、今日は初めてまともに合唱の演奏会に行きました。ゼミの同期に明混(→明治大学混声合唱団)が居たにも拘らず時期の問題で行く事が出来なかったので、ようやく聴けるという事で楽しみでしたね。

 T部はスタンダードな合唱曲でした。ミサはいわゆる聖歌。あの有名なアニュス・デイなどのコラールを聴く事が出来ました。あまり人数が多くは無いのでちょっと寂しげでしたが、テノールの独唱は大変温かく良かったです。ちょっと声質が気になりましたが、すごくデリケートな感じが気持ち良かったです。スーパーマンは学生による指揮、音程などは難有りでしたが、それ以上に内容の面白さ、学生同士ならではの純粋な楽しさが伝わってきました。歌詞に関しては何も言うまい。面白いの一言に尽きる。わらべ歌は小学生が入って、広がりが増しました。結構小学生が上手くて、学生が霞んでしまう瞬間もありましたが、言葉遊びを軽快に聴かせてくれました。
 U部は元々宇大の委嘱作品。歌と言うのはメッセージ性が大変強いものですが、それを上手く利用した「問い」の作品。学生もここまでと違ってとても声量が増し、最も楽しんでいると言う感じがしました。実は客席も一番楽しんでいましたが。
 一番星 どこいった
 二番星 いーないぞ
 三番星 行方不明
 四番星 本日休業
 五番星 只今外出
 六番星 故郷帰省
 七番星 狸寝入り
 八番星 無断欠席
 九番星 海外旅行…
こんな具合で始まるんですが、ここだけでもう虜ですよね。そのまま世界に引きずり込まれました…。衣装も小道具も大変凝ったものですが、きちんと意味合いを発しているのがよくわかる…初演は1987年ですが、きちんと現代風にアレンジしてあり、その辺りに創作意欲を感じました。終わってみれば50分経ってましたが、その時間を感じさせる事なく大変楽しかったです。

 合唱、楽劇…久しぶりにそう言ったものに触れて忘れていた何かを思い出しました。そう、表現です。正直合唱ってはっきりとした「歌詞」があるわけで、そういった意味で解釈に広げ方が単一方向になりがちで苦手です。まあ、最近のものは現代詩ですから前衛的シュール・レアリズムがあってそれはそれで拡がりがありますが。でも体いっぱい表現する姿を見て、周りの楽器奏者の縮こまり方と対称的なものを感じました。歌って根本的で最も身近な音楽、誰もが出来る音楽ですから…。だからこそ難しいんだけどね。なかなか言いたい事がまとまらなくて困っていますが、要はただ吹くだけで満足している楽器奏者の皆様は、こういった表現も是非参考にして欲しいという事です。そういう意味では、合唱のみならず、ミュージカルや演劇などをどんどん見て聴いて、さらに表現を磨いた方が面白い音楽を奏でる事が出来ると思います。まとまらないけど、大変感慨深い夜になりました。

☆プログラム☆

T部 
指揮:栗山文昭・高橋等望使
Missa Brevis(作曲:Kjell Mφrk Karlsen)
無伴奏混声合唱組曲 スーパーマンその他大勢(作詞:谷川俊太郎 作曲:松崎泰治)
混声・童声合唱とピアノのための 島根のわらべ歌(編曲:三善晃)
〜ピアノ:須永真美 童声合唱:矢板市立片岡小学校音楽部・たまむらの子どもたち〜

U部
指揮:栗山文昭 ピアノ:須永真美
混声合唱のためのシアターピース
星からとどいた歌(1987年宇都宮大学混声合唱団委嘱作品)
(作詞:加藤直 作曲:青島広志 演出:小田嶋学)

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