第10回東関東吹奏楽コンクール
一般・職場の部

2004.9.12(日) 於 宇都宮市文化会館 大ホール

 職場・一般を全て通して聴いてみました。寸評を書いてみます。感想と結果を書きますね。たっぷり主観入れときます!!

☆一般の部
@神奈川県代表 茅ヶ崎高校吹奏楽部OB会吹奏楽団 指揮:伊藤寛隆
 V 歌劇「トゥーランドット」セレクション(プッチーニ/真島俊夫)

 やはり朝一というのは酷なものですが、自由曲に関しては不安定感が有るもののとても音楽の色彩が豊かで伸びやかでした。プッチーニらしいドキドキ感は充分に出てました。―
A神奈川県代表 創価学会神奈川吹奏楽団 指揮:清水郷志
 X 管弦楽組曲「惑星」より 6.天王星(ホルスト/山本教生)

 課題曲・自由曲ともに整理がなされず、常に不安定感があり聴いていても不安になってきました。演奏はそんな感じですが、天王星を聴く事が出来たのが一番の収穫でした。課題曲は残念ながらその実態がわからない感じでしたね…。―銅 
B栃木県代表 宇都宮ウインドクルー 指揮:田村和久
 T 序曲「ピータールー」作品97(アーノルド/近藤久敦)

 コンクール感丸出しでした。課題曲の流し方、組み立て方など。ちょっとあからさまな感じがあったのでちょっと残念でした。音楽ってそんな焦ってやるものではない気がします。―銅 
C茨城県代表 ひたちなか交響吹奏楽団 指揮:蒔田宜幸
 T 管弦楽のための「ジョージ・バーナード・ショー」 的素描より メジャー・バーバラ(ウォルトン/瀬尾宗利)

 終始納豆のような粘り気のある演奏。ここはそんな表現じゃないよな〜ってところもひたすら方向性は横。どうしてもそれが最後まで気になりました。でも技術は高いバンドだと思うので、また違った作り方で聴きたかったです。レベル的には銀以上で有ったと思いますが、音楽面で難あり。―銅
D千葉県代表 光ウインドオーケストラ 指揮:佐藤博
 W 民衆を導く自由の女神(樽屋雅徳)

 決して悪くは無いがいまいちぱっとしない感じ。あんまり記憶に残ってないです。整ってるけどいまひとつ何かが伝わってこないなぁ、という感想ですね。―銀
E茨城県代表 水戸交響吹奏楽団 指揮:萩原健
 V バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より 1,2,4(レスピーギ/木村吉宏)

 全体的に丁寧な印象でしたが、快活なところはブッちぎってました。ベルキスでありがちな荒れもブッちぎりの中で上手くコントロールされていて聴いていて楽しくなる演奏でした。午前では一番の演奏でした。ちなみにH12年度のDMが出ていらっしゃいました。久方ぶりの再会でした。―金
F千葉県代表 サウスウインドオーケストラ 指揮:畠田貴生
 T ウィズ ハート アンド ヴォイス(ギリングハム)

 午前の部では一番安定した、整った演奏でした。もしかしたら好みによっては午前中唯一の金賞になるかも、という感じもしました。ただ主張が弱く、「上手いんだけどね」というのが結果に出たんだと思います。いろいろ議論を醸している団体だけに、今後に注目です。出来れば高校とは違った大人の音楽を聴かせることが出来たら面白い団体になると思います。期待。―銀
G千葉県代表 かずさウインドオーケストラ 指揮:地引満
 T シドゥス(ドス)

 ごめんなさい…この辺りから課題曲の演奏に飽きてあまり印象がないんです。なぜか。それは最後に書きますよ。―銀
H神奈川県代表 Oak Wind Symphony 指揮:榮村正吾
 T 出エジプト記より(天野正道)

 同上ですね…曲自体も印象があまりないかも。この曲はちょっとタイトルにはそぐわないかな…確かに船出っぽい曲ではあるけど…いい加減なコメントですみませんね―銀
I茨城県代表 常陸太田市民吹奏楽団 指揮:野村秀樹
 W アウェイニング(鈴木英史)

 作曲者の前での演奏でした。ここもあんまり覚えてない…。―銀
J栃木県代表 矢板ウインドオーケストラ 指揮:黒尾実
 T ポルトガル系移民の祭り「チャマリータ!」(ニクソン)

 ここでようやくいいTが聴けました。曲中のいろんな要素がくっきりと浮き出ていて、きっちり吹けている感じでした。それは自由曲の最後まで続くいい緊張感でも有り、「おお〜」と思わずため息がでる気持ちよさでした。―金
K栃木県代表 足利市民吹奏楽団 指揮:斎藤俊也
 T ラ・マンチャの男(リー・杉本幸一)

 ゴキゲンな演奏でした。ちょっと銅賞は無いかな〜なんて感じの出来でした。確かにちょっと無計画な印象を受ける部分があったのは事実ですが…。ゴキゲンな曲を演奏する事の難しさと評価の難しさを改めて感じました。―銅
L神奈川県代表 ウインドオーケストラ音秘 指揮:中澤幸宏
 V ハンガリー狂詩曲第2番(リスト/淀彰)

 今大会中一番不安定でした。でも東欧らしい荒涼とした響きは気持ちよかったです。それぞれがもっとその熱さを表現でき、団体としての方向性を見せられればもっと素敵かなと思いました。―銅
M千葉県代表 習志野シンフォニックブラス 指揮:須藤信也
 T カレイドスコープ〜ブルックの歌による5つの変奏曲〜(スパーク)

 さわやかな演奏だったけど、ちょっとさわやか過ぎた感じがしました。曲もちょっとスパークっぽくないかなぁなんて、スパーク好きとしては思ってしまうのです。この曲はそのうちゆっくり聴いてみようかなと思います。―銀
N神奈川県代表 相模原市民吹奏楽団 指揮:福本信太郎
 V 楓葉の舞(長生淳)

 とても心地のよい響きでした。鳴らしてうるさくなく、全体を包み込むような響き…吸い込まれました。曲も僕がハマってる長生淳、邦人作曲家の中でイチオシ中のイチオシです。変に日本の音階を使うでもなく、和太鼓を使うでもなくて「和」を、というか日本の空気を上手く表現した曲で、これまた演奏がそれを見事に表現したなぁと感動しました。もっと落ち着いた場所でもう一度聴きたい演奏でした。―金
O千葉県代表 習志野ウインドオーケストラ 指揮:海野修
 X ハリソンの夢(グラハム)

 難曲を各楽器が輪郭をくっきりと浮き立たせて、テクニカルな曲を面白みを見せながら演奏していました。かなりの完成度であったと思います。ただこの曲が割と中身が薄いのか、その辺でぼやけた音楽面が残念でした。―金
P茨城県代表 水戸市民吹奏楽団 指揮:仁平良治
 T ブルー・ホライズン(チェザリーニ)

 前後をなかなかな団体にはさまれ、あんま記憶ないです…一つだけ言うとすれば、「最近のチェザリーニ、いいか?」くらいです。彼は僕の中では偉大なるアレンジャーです。だからオマージュ作品が多いのかなぁ。―銀
Q神奈川県代表 横浜ブラスオルケスター 指揮:中村睦郎
 W コリアン ダンス(高昌帥)

 出来すぎ。指揮者の力が完璧に楽団を纏め上げている、そんな感じがしました。指揮を振りすぎなのかもしれないけど、その効果が充分に表れていました。もう少し自然な流れで聴きたかったけど、こういう曲はそういった形での作り方が効果的な気もしました。ここの前衛でない音楽ってどんな感じなのかなぁ、ちょっと興味があります。―金・代表
R千葉県代表 土気シビックウインドオーケストラ 指揮:加養浩幸
 V ラザロの復活(樽屋雅徳)

 終始ぼやけた感じなのはここ特有のサウンドなので置いて置くとする。ちょっと不安定なところも有ったけどバランスとかはとてもよかったです。自由曲は流行りの樽屋作品だったけど、今回もちょっと中身の薄い作品かも…と思いました。どうも若いせいか外見のかっこ良さを求めた構成な気がします。ダントツの1位でしたが、そこまでの演奏だったかは疑問です。コンクールの難しいところかなと思います。―金・代表
S神奈川県代表 グラール ウインド オーケストラ 指揮:佐川聖二
 T バレエ音楽「ライモンダ」より(グラズノフ/林紀人)

 細かいところがパラッパラッとしててちょっと気になりましたが、その場その場にあった雰囲気の音楽で素敵な演奏でした。みょーに楽しそうに演奏してた印象があります。全国を経験したバンドがこんな感じで演奏しているのは非常に嬉しかったですね。昨今精密さばかりが問われるコンクールの中で貴重な存在であり、それがまた高く評価されていて良かったなと思いました。―金
21栃木県代表 小山市交響吹奏楽団 指揮:原進
 T 「GR」より シンフォニック・セレクション(天野正道)

 実にゴージャスな演奏だった…制限いっぱいの80人でこの曲ですから…だからといってぐちゃぐちゃにやってるわけでもなく、この時間だからなおさら盛り上がって…何言ってるかわからないと思うけど、とにかく楽しいエキサイティングな演奏でした。ほんと派手だったぁ。―金
22茨城県代表 関城吹奏楽団 指揮:豊田晃生
 V 交響詩「ローマの祭り」より(レスピーギ/佐藤正人)

 課題曲はきれいだなぁ、なんて思ってたけど、ちょっと自由曲中心に荒れすぎな気がしました。もちろん曲的にエキサイティングで有って欲しいんだけど、それだけな曲ではないと思います。若さゆえの暴走って言う感じの演奏でした。落ち着きないけど、面白い演奏では有りました。―金・次点

☆職場の部
@神奈川県代表 NEC玉川吹奏楽団 指揮:稲垣征夫
 T ミュージカル「屋根の上のバイオリ弾き」より(ボック/杉本幸一)

 単調かなぁ、でもココ近年楽しい選曲で楽しませてくれています。関東の雄なだけあって、貫禄ある演奏でした。でもそこまでがぶっ飛んだ演奏だったからちょっとこじんまりした様に聴こえてしまったかも。残念でした…。―金・代表
A茨城県代表 鞄立製作所情報制御システム事業部大みか吹奏楽団 指揮:萩原健
 X ガリバー旅行記(アッペルモント)

 編成の都合でもあり、セッティングの都合もあり、かなりバラけて聴こえてしまいました。それより各自が各々の方向性で吹いてしまっていて、合奏体の楽しみをあまり見出せなかったと言うのが正直な感想です。―銀

という訳で全団体聴いて、書いてみました。今年は課題曲が難しいですね。特に一番多いTは、最初を無理に落として崩れていくバンドをたくさん見ました。最初のクラリネットによる提示は、決して「小さく」ではないはず。秘めた感じで、芯はもっとしっかりしてるはずです。途中で書いた「飽きてきた」というのは、こういったミスを犯した団体が多かったからです。それはやはり僕だけが感じた訳ではなかった様です。何にしてもコンクールに「勝つ」為に組み立てた音楽は空虚です。ちょっと風が吹いただけでガラガラと音を立てて崩れます。音楽的な組み立てをしていればそんなくだらない崩れ方はしないと思います。是非一回指揮者として自分が思った風之舞を組み立ててみたいです。でも曲的に大変中途半端なんでそこまでする事もないかなぁ。一般ともなると割と審査員もちゃんと音楽面を聴いてきますね。講評で鈴木英史も言っていましたが、やっぱり「勝つ音楽」じゃだめです。というかそんなもん無い筈。音楽ってもっと素直な筈です。素直だけどさらに作曲者の気持ちを考えながらこうかな、こうかなと試行錯誤して組み立てるもんだと思います。あとは感性かなぁ。なかなか勉強になった1日でした。

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