東京佼成ウインドオーケストラ
第80回定期演奏会

2004.2.20(金) 於 東京芸術劇場 大ホール

 さてさて、行きました佼成ダグラス・ボストック指揮で東京芸術劇場にて。前半は室内楽のような感じ。大期待の「ラ・ペリ」よりファンファーレ(デュカス)、上品な演奏でしたがちょっとバランスが気に…この曲は演ってみたいですね。続いて「管楽合奏の為のアダージョ」(ロドリーゴ)、これは佼成だからこそ出来る曲でした。ソロとソロの静かな競演、アダージョを切り裂く全奏部、どこまでも遠くへ行くラスト…特にこの最後の長いディミヌエンドはこっちまで息を呑む素晴らしい緊張感でした。前半のトリは「ヴァイオリンと管楽合奏のための協奏曲」(ヴァイル)。ヴァイオリン独奏は元新日フィルの副コンサート・ミストレスの鈴木理恵子氏。最初からとても前衛的な雰囲気が強い感じ、ヴァイオリンが強く出るわけでもなくもどかしい感じと言うのが素直な感想です。彼女は紫の衣装でしたが、正にそんな感じでした。もし赤いドレスで出てきたらこの演奏は衣装に殺されたのかなと。紫色の演奏だったと言っておきましょう。はっきり言ってかなり興味深い演奏でした。というわけで前半はかなりマニアックながらも吹奏楽と言うか管楽合奏の可能性を充分に見せつける演奏でした。これは佼成じゃなきゃ出来ませんね。後半は、前半とは打って変わり吹奏楽のフル編成で吹奏楽の古典「リンカーンシャーの花束」(グレインジャー)からスタート。味わいのある管の広がりを感じました。この時期の曲はなぜか好きですねぇ。大トリは「ダンス・ムーヴメント」(スパーク)、スパークの最高傑作であることは言うまでも無いのですが、僕は少々趣味の問題であまり好きな演奏ではありませんでしたが、それはそれで面白い演奏でした。ちょっとテンポが早めでしたが、特に2楽章の木管群は良かったです。欲を言うと木低をもう少し聴きたかったなぁ。全体としてはエネルギッシュでエキサイティングな演奏、終了後は大喝采でした。隣の人なんかえらい感動してたなぁ。僕は昔やった事があったので、いろいろ思い出しながら3楽章なんかでちょっと泣きそうになりました。ちなみに僕が不満だったのは、イギリス音楽ってザッツがそろって更に魅力が増すんだと思うんですね。特にスパークは。ボストックは正反対で音楽の流れ重視と言う感じですかね。それはそれでいいと思います。自分と違う考えの音楽を聴いて凄く勉強になった夜でした。自分の信じる道を行くのもいいけど、人の話にも耳を傾けるといいね、という話でした。ちなみに大学の木管トレーナーである金井先生が乗ってました。終わってからメールをしたらいつもの調子でした。最近ずっと佼成に乗っているみたいで、そのうち団員になるんでしょうかね。お世話になった先生が日本のトップバンドで吹いてるのを見て、凄い人に教わってたんだなとあらためて一人で感謝してみました。


☆プログラム
「ラ・ぺリ」よりファンファーレ:ポール・デュカス
管楽合奏のためのアダージョ:ホアキン・ロドリーゴ
ヴァイオリンと管楽合奏のための協奏曲:クルト・ヴァイル
 ◎ヴァイオリン独奏 鈴木理恵子

リンカーンシャーの花束:パーシー・グレインジャー
ダンス・ムーヴメント:フィリップ・スパーク


☆指揮:ダグラス・ボストック
☆演奏:東京佼成ウインドオーケストラ


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