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1. 空気圧駆動のための空気の基本的性質



1.3 空気の充てんと放出に要する時間


 図-3 に示すように、一定圧力 の空気源より なる容量をもった容器なり、スぺ−スに空気が流入するとき、その圧力曲線は 図-4 のようになる。 図-4 のA点は臨界点であり、容器内の圧力を とすれば  =0.528 である点となり、この点までは 図-3 の オリフィス を通る空気の速度は音速であり、したがって流量曲線は直線、この点を越えるとオリフィスを通る空気流は亜音速となり、図-4 の流量曲線は サインカ―ブ となる。


 図-4 の変化における 圧力−時間 の関係は、なる容器ヘ オリフィス を通じ、つねに音速で流入したと仮定したときの流入時間 Tn を基準とすれば

0=−(1/)Tn
1=0.528Tn
2=0.757Tn

 の割合となる。またTnを空気回路における時定数という。

Tn=5.21(/S)10-3 [sec]

    ここに :容器の内容積 [cm3
          S:オリフィスの有効断面積 [mm2]

 したがってSなる有効断面をもったオリフィスを通して、空気が なる容積の容器に流入する時間 t は次式で示される。

t=(1.285−(1/))*5.21*/S*10-3[sec]

    ここに    :供給圧力の絶対圧力 [kg/cm2abs]


 図-4 では容器内圧力は零すなわち絶対真空より示したが、容器内圧力が大気圧すなわち、1.033kg/cm2 から充てんが開始されるときには、現象は図の0’点より始まるし、 もし が低圧で、臨界条件以下で充てんされるような場合には、図の0"のような点から開始されるわけであり、曲線 ABC は正弦曲線であることから充てん時間は容易に求められよう。


1.4 空気を容器より放出する場合


図-5 のように容積の容器から なる圧力が大気圧に放出される場合、臨界条件すなわち
=1.893 ×1.033=1.96 kg/cm2abs (0.922kg/cm2G)
の圧力以上では オリフィス を流れる空気の流れは音速となるが、流出する空気の量は流出に伴って容器内の圧力が減少するためしだいに減少し、圧力−時間曲線は 図-6 に示すように、臨界条件以上であっても指数曲線となって変化する。



もし放出する外気が絶対真空ならば、最後まで

なる時間変化をするわけであるが、大気圧のもとに放出する場合は前述したように容器内の空気圧がゲ―ジ圧で 0.922kg/cm2 になると亜音速となり,上述した 式(32) に示される時間より長い時間、かかつてしまう。

 いま 5kg/cm2G に充てんされた容器より大気圧に放出完了する時間を示せば

で示される。ここにγはポリトロ-プ指数で、亜音速で放出されるとき等温に近いような状況で放出されるか、比較的オリフィス径が大きく、短時間に放出され断熱状態とみなしうるかによって左右される。断熱状態ではγは 1.4 等温状態ではγは 1 となる。

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