◆1998年〜1999年に発売されたCD


◎スピッツ『RECYCLE〜Greatest Hits of SPITZ〜』(1999)
WANDS『AWAKE』(1999)
THE MAD CAPSULE MARKETS『OSC−DIS(OSCILLATOR IN DISTORTION)』(1999)
B’z『BROTHERHOOD』(1999)
rumania montevideo『rumaniamania』(1999)
REBECCA『Complete Edition』(1999)
◎ZIGGY『Goliath Birdeater』(1999)
◎BUMP OF CHICKEN『FLAME VAIN』(1999)

椎名林檎『無罪モラトリアム』(1999)
森重樹一『BUTTERFLY』(1999)
BAAD『B−SOUL』(1998)
黒夢『CORKSCREW』(1998)
SUPERCAR『スリーアウトチェンジ』(1998)
L’Arc〜en〜Ciel『HEART』(1998)
BOOWY『THIS BOOWY』(1998)
favorite blue『Missing place』(1998)


■邦楽

スピッツ RECYCLE〜Greatest Hits of SPITZ〜
1999・12・15発売
シングルコレクション。
「君が想い出になる前に」から「楓」までの13曲。

スピッツのサウンドをこうやって並べて聴いてみて際立つのが、きれいなメロディーライン、草野マサムネの透きとおる歌声、三輪テツヤのルックスとは裏腹のキレイなクリーントーンの音色、の3つである。
メロディーはどの曲もとても秀逸だ。サビは覚えやすく、そして繊細で美しい。
サウンドが多少実験的になっても、メロディーは一貫して変わっていない印象である。
草野マサムネの歌声もまた変わらない。メロディーの繊細さを際立たせる歌声である。
そして、Gu。ディストーションサウンドも主張しすぎず上品であり、クリーントーンはホントに数あるバンドの中でもかなりキレイな部類である。

楽曲としては、M2「空も飛べるはず」M4「スパイダー」M5「ロビンソン」M7「チェリー」M13「楓」がいい。特に「スパイダー」のノリのよさと「楓」のサビメロの切なさはすばらしい。

また、歌詞もピュアな雰囲気を残したままである。どこかのバンドのように年を経ると社会批判を始めたりしないのがいい。むしろ、曲の雰囲気がこのような歌詞を呼んでいるのかもしれない。

スピッツを好きな人というのは、ある種の繊細さを持ち合わせた人ではないだろうか。そんなスピッツを長年理解出来なかった俺には繊細さがないということだろう。
このアルバムで惜しい点をいえば、もう少し初期の作品があってもよかったというところである。まぁ、でも満足いく選曲だろう。


WANDS AWAKE
1999・10・27発売
1、AWAKE :8
Guリフ、曲構成、メロディーとうまくまとまっている。生Drでやるべき曲なのに打ち込みなのが残念。
2、BRAND NEW LOVE :8
イントロのピアノがかなりVAN HELEN臭い。ところどころにシンセの効果音が混ざっていて面白い。作詞とイントロのしゃべりはZARDの坂井泉水。
3、雲が流れる方へ :10
構成はコンパクトだが、ドラマチックなアレンジとサビでの転調がかなり効いていてカッコイイ。
4、With you〜living in my heart〜 :9
ストラトっぽいGuのリフが効いたロックナンバー。サビメロが叙情的でよいのと、エンディングのGuとオルガンのフレーズがいい。
5、SILENCE :8
プログレ+オルタナなアレンジ。単調なメロだけにアレンジのよさがよくわかる。途中爆音になる箇所がかなりかっこいい。
6、「今日、ナニカノハズミデ 生きている」 :8
作曲が三好誠(rumania montevideo)のせいか、スウェディッシュロックっぽい。サビメロがはっきりしないので全体的に単調。WANDSではなくrumania montevideoでやるべき曲。
7、BLACK or WHITE :7
メロの持っていき方やGuのアプローチ、ハネたアレンジなど妙にB’z臭い。Guのドンシャリサウンドがイマイチ。
8、Time washed away :7
Vo・和久の上杉昇っぽさを一番感じることができる。前半はピアノ、後半はチープなストリングスが効いたバラード。
9、明日もし君が壊れても :7
本格的なパワーバラード。Vo・和久が実は上杉ぐらい上手いことを気づかせてくれる。イントロがピアノでなくハープシコードなのが面白い。
10、Still in love :8
Gu主体の第2期でもあまり見られなかったロックチューン。サビメロがかっこいいが、このコード進行だとこのようなメロになりがちでもある。
11、Please tell me Jesus :9
歌詞がものすごくSURFACEっぽい。曲調もSURFACEっぽい。イントロなどで出てくるGuとKeyのユニゾンがかっこいい。
12、錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう :8
第3期の第1弾シングル。作詞・作曲は小松未歩、編曲は池田大介でWANDSはあまり関与してないようだ。サビのシンセの音色やAメロのシーケンスフレーズなどかなり池田大介っぽい。
13、Where there’s a will :7
パッド系シンセがメインのよくありがちな、アルバムラストの曲。

第3期WANDS唯一のオリジナルアルバム。

全体の方向性は、第2期WANDS後半期からグランジ色を抜いた感じで、BON JOVIやVAN HELENを思わせるハードロックサウンドである。アルバム全体の構成、曲やアレンジの方法論で過去の「WANDS」の流れを継承しようと試みており、一応の成功はみせているだろう。

ポップさは上杉ー柴崎時代を思わせるがアレンジの方向性は若干異なり、オリジナリティーを見出す事も可能だが、WANDSにそれほど詳しくなければ同じに聞こえるかもしれない。Keyの木村がリーダー的存在となったせいかややシンセが過剰な感じがする。

Vo:和久二郎のスタイルがかなり前任の上杉昇に似ているのが面白い。全体的には、和久のほうが声が薄っぺらいのだがとことどころ似ているのが面白い。Gu:杉元一生は柴崎の代わりが十分つとまるスキルの持ち主である。Guアレンジも悪くない。

アルバムの出来はかなり秀逸であるが、「WANDS」の名に固執する必要はなかったかもしれない。

THE MAD CAPSULE MARKETS OSC−DIS
(OSCILLATOR IN DISTORTION)
1999・8・25発売
日本のハードコア、ミクスチャー系の旗手であるマッド・カプセル・マーケッツ。
通算9枚目のアルバムである。ながらく、その道の人間のあいだでは人気があったようだが、メジャーシーンで知られるようになったのは、ここ1・2年のようである。

彼らのサウンドは、打ち込みサウンドとハードコアの轟音、ラップ調の声、デス声のここちよいからみであろうか
このアルバムはメロディーが比較的しっかりした曲もあり、バラエティの富む内容だ。
16ビートのグルーヴがなかなかここちよい。曲構成もよく練られているものが多い。
残念なのは、CDの音のダイナミクスに乏しい点か。音が、コンパクトにまとまって聞こえてくる感がある。
CDより、生で聞いてみたいものである。

M11「GOOD GIRL」は中田英寿が出ていたスポーツドリンク(名前忘れた)のCM曲で聞いたことがある人も多いと思われる。
この曲はメンバーの誰か(確かDr?)の愛娘へささげた曲だそうだ。

B’z BROTHERHOOD
1999・7・14発売
1、F.E.A.R :10
古いエアロスミスの曲を最新のGuサウンドで蘇らせたような曲。休符が多いが勢いあふれる作りには脱帽。
2、ギリギリchop(Version51) :9
サポートはMr.Bigのリズム隊。楽器や声を武器に戦闘をしているかのようなスリリングさ。
3、Brotherhood :8
苦楽をともにした仲間同士の友情を歌い上げた曲。ゆったりとしつつもあくまでハードなパワーバラード。
4、ながい愛 :7
イントロの長いストリングスは、この曲が当初M1になる予定だったため。3連のハードな曲。Aメロがちょっと暗すぎるような。
5、夢のような日々 :6
サビ後半では松本のVoがメインになっている。弾き語り系の仕上がりだが、少しメロディーが重くヘヴィーな印象。
6、銀の翼で翔べ :9
軽快な16ビートのB’zらしい曲。重めのGuとチープなブラスが従来と違う点。
7、その手で触れてごらん :7
これもB’zらしい16ビートだが音がスカスカ過ぎるのが難。もっとゴージャスに仕上げたほうが生きると思われる。
8、流れゆく日々 :6
静と動のメリハリが効いたスローな曲。印象度が薄いのが難。後半の怒涛のGuソロは聴き所。
9、SKIN :5
全般的にインパクトに薄い曲。メロディーも松本らしくなく地味。
10、イカせておくれ:5
メロディーは良いがアレンジで死んでいる。別のアルバムでもっと派手に仕上げるべきだったか。
11、SHINE :6
ビリー・シーンと松本の早弾きユニゾンは圧巻を通り越して気持ち悪い。イントロの似非スパニッシ
ュは面白い。

10枚目のオリジナルアルバム。

おそらく打ち込みは皆無。キーボードなどのパートがある曲も少ない。ものすごくハードな仕上がりである。
1曲目からとにかく圧倒される。Guサウンドもとても分厚い。

MR.BIGのビリー・シーン(Ba)、パット・トピー(Dr)が参加。特にM11「SHINE」でのビリーと松本のユニゾン早弾きはめちゃくちゃ凄く、気持ち悪い。
ハードロック指向なので難易度の高いプレイが目立つが、逆にコピーのやりがいはある。

詞のほうは従来の稲葉らしい言葉選びをのこしつつ、内容はより内面的・社会的なものの割合が大きい。年齢の増加による心境の変化もあろうか。

トータルではヒットチャートから背を向けたような、硬派なハードロックサウンドである。実際前作より売上げは大きく下回った。先行シングル「ギリギリchop」のc/w「ONE」はポップかつキレイなバラードであったのだが、おかしい。

rumania montevideo rumaniamania
1999年・6・16発売
メジャー第1弾アルバム。これまでにインディーズで2枚出している。
Being系ミュージシャンである。

このバンドのプロモビデオをはじめてみた時の衝撃ははかりしれないものがあった。なにせ、ドラム・ボーカルである。こんなバンド、プロじゃまず見た事は無い。
まず、ライブを想定したパート編成とは思えない。メジャーに上がってからライブをしたという話は聞いたことないが、ほんとにドラム・ボーカルのままでライブをするのだろうか。

さて、サウンドであるが、このアルバムに関しては、けっこうビートルズ臭い。ギターの歪みは荒く、少ない曲が多い。あと、ドラマーがいるのに打ち込みを多用したものが多い。やはり、ドラムを叩きながら歌うのは難しいということか。
M2「Still For Your Love」はシングルであるが、なぜかこの曲が一番ヘビーである。M4はインディーズ時代の曲のリアレンジ。

Vo、三好真美の書く詞はかなりシュールである。歌は、なんか音程をはずしそうで危なっかしく聞こえる。しかし、ブリグリ同様、あまりうますぎる必要はない。だが、もう少しうまくなって欲しいと思う。

最後に、このバンド名、結構好きだ。
ルーマニアは東欧の国、モンテヴィデオは南米ウルグアイの首都である。
感覚的には「日本・ソウル」みたいなものである。

REBECCA Complete Edition
1999・6.2発売
M4「フレンズ」がドラマ「リップスティック」の主題歌として起用されたのを期に、発売されたリミックス・ベストアルバム。

過去の音源を聞いたことがないので、どうリミックスされたかを聞き比べることは出来ないが、音質は新しい感じに仕上がっている。
メロディーなど、いかにも80’sといった雰囲気だが、シンセアレンジの手法なんかは、ELTあたりの曲に通じるものを感じさせ、決して古さを感じさせない。Key:土橋安騎夫の才能はかなり高いと思う。この作品の曲も全曲土橋の手によるものである。

曲は、マイナーコードがメインの曲が多い印象。また、大きく分けると繊細で儚い印象のものと、リズミカルでファンクっぽいものとに大別される。
M4は言うまでもなく、M1「Raspberry Dream」やM10「MOON」、M14「Virginity」のメロディーはかなり秀逸である。

Vo:NOKKOの存在感もなかなかのものだ。メロディーとはうらはらに、曲を力強くしているのは彼女の存在感の為せる業か。
特別ずば抜けた歌唱力を持っているわけではないが、それでも、パワフルでハスキーな歌声はリスナーを確実に魅了する。恐らく、現在30前後の女性ボーカリストの大半には影響を与えているのではないだろうか。

ZIGGY Goliath Birdeater
1999・3・20発売
1、Wannabe :8
2、Without・・・ :9
3、マケイヌ :10
4、嫌なこった :7
5、VENUS :9
6、時の砂 :8
7、MONKEY :8
8、ペシミストのため息 :8
9、この空の下のどこかに :9
10、流浪のダンス :7
11、迷走 :7
12、Forever Wild :7

レコード会社の契約切れでの活動休止状態からの復活を果たした2年ぶりのアルバム。
この作品では6年ぶりにGu:松尾宗仁が復帰、初期ZIGGYサウンドが復活する。

サウンド的には初期ZIGGYを彷彿させるメロディアスかつヘビーでワイルドなロックンロールから、2人〜3人での活動期にみられたプログレ寄りのアプローチ、それから当時流行りのメロコアテイストも盛り込まれており、非常に多彩である。
ただ、Guの音色・プレイは2人〜3人の時期の作品に比べ、格段に悪く、また劣悪である。特にM6「時の砂」のスカの音粒が全くそろっていない。
とはいえ、松尾の復帰で「ZIGGY」らしさは確実に復活したといえるだろう。

詞に関しては、ここ何作かの哲学的な世界観から、ちょっと初期の悪っぽいものが垣間見られるようになり、これも初期を彷彿とさせるのではないか。

曲の完成度はどれも高く、トータルでみると、かなり完成度が高い作品ではないだろうか。プレイ面、Voの力量もかなり高い。Gu以外は。

BUMP OF CHICKEN FLAME VAIN
1999・3・18発売(2004・4・21再発予定)
1、ガラスのブルース :9
アップテンポでサビメロが印象的。ネコに仮託したメッセージ性のある歌詞が素晴らしい。
2、くだらない唄 :8
無難な構成に思えるが、サビメロの力強さが良い。歌詞はどことなく切ない。
3、アルエ :9
疾走感あふれる、ノリの良い曲。元気づけてくれる歌詞もいい。
4、リトルブレイバー :8
イントロのアルペジオが好き。何かに躊躇してる時にこの歌詞を読むと勇気付けられる。
5、ノーヒット・ノーラン :8
曲のハイライトがややぼやけている。臆病者が自分を叱咤する歌詞。
6、とっておきの唄 :8
エモーショナルな歌声、クリーントーンのAメロとラウドなサビの対比が良い。単純なラブソングに終わらない歌詞がよい。
7、ナイフ :8
イントロのGuリフがカッコいい。演奏が曲に負けているのがもったいない。
(8、バトルクライ :10)
M4と同じく、何かに踏み出せない時に背中を押してくれる曲。感情こもった歌と演奏も後押ししてくれる。

1stアルバム。M8は再発盤にのみ収録。

メンバーは千葉県佐倉市出身の幼馴染4人組。
サウンドはエモコア+ガレージロック+ビートロック+オルタナといったところか。演奏技術ははっきり言って下手。
だが、それを補って余りあるのが演奏のひたむきさと感情こもった歌声。
Vo・藤原の歌声は説得力にあふれる。特別上手いわけでもないし、声が高いわけでもなく特徴も無い。だが、エモーショナルで直接ハートに届いてくる声である。

その歌声を引き立てるのが、藤原自身が書く歌詞である。
詞の中では、ネコであったり少女であったり何かにもがき苦しむ主人公であったり、様々な存在が登場する。そして、それらに仮託してメッセージを伝えるという手法がとられる。
そういった方法や独特の節回しなど、彼の歌詞はリスナーを強く引き寄せる。

冒頭で述べたように、演奏については荒削りという印象は否めない。フィルインのテンポ感が怪しい場合がほとんど。だが、裏を返せば、ものすごいスキルを持ってなくても十分にメッセージを届けることが可能ということを教えてくれる。

後のアルバムでさらなる成長を見せた彼らであるが、このアルバムにも多くの魅力が詰まっている。特に、何か糸口が見えなくて苦しんでいるなら、ぜひこのアルバムを聞いてみてほしい。

椎名林檎 無罪モラトリアム
1999・2・24発売
1stアルバム。

曲のバリエーションが非常に多彩である。
M1は結構とっつきやすいポップロック、M2は歌謡曲調、M3はジャズっぽく、M4はグランジっぽい。最初の4曲が面白いほどバラバラなのが面白い。
しかし、アルバムトータルでは不思議にも統一感が見られる。
メロディーはかなり歌唱力を要しそうだが、それでいて結構耳にのこるものである。ここらへんは林檎の才能とは言えまいか。
歌唱力も相当高レベルだと思われる。

林檎の歌を支えるサポートミュージシャン達もかなりハイレベルである。
この作品の曲を完全にコピーできればかなりの腕と言ってもよいだろう。

歌詞は、エロティシズム全開。
あとはパンクの影響も見られるか。どちらにしろ、既存の詞にはないアプローチのものばかりである。
あとは、そこそこGuに詳しかったり、音楽に詳しかったりすると楽しめる。特にM3。

森重樹一 BUTTERFLY
1999・1・30発売
1、OVER THE RAINBOW :9
メロディーがとにかくきれい。詞は前向きな内容だが青臭いものではなく俯瞰的。
2、ガキのままで :8
歌詞はどちらかというとZIGGY的でシンプルだが、意味深い。R&R調な曲。
3、夜は朝が思う程 :8
森重の歌唱力をこれでもかという程に堪能できる。曲構成、アレンジが非常に面白い。
4、LIVE FOR TODAY :8
16ビートのファンキーな楽曲。ノリがよい。
5、RIDE ON THE WIND :8
このアルバムの中ではGuメインの数少ない曲。要所のキメがかっこいい。
6、LAZY BLUE :6
森重の死んだ友人にささげた曲らしい。雨が似合うバラード。
7、あすがこなくても :10
なによりもメロディーがきれい。アレンジもシンプルであるが、要所でのみ登場するディストーションGuやBメロの打ち込み音などスパイスが効いてていい。
8、MORE THAN WORDS :7
レゲエっぽいアレンジ。これもメロディーがきれい。数少ないラブソング。
9、キ.セ.キ.ガ.オ.キ.ル.ノ.ワ. :5
メロディー、サビともに中途半端。良作が多いだけに惜しまれる。
10、汚れた街で :6
どことなく内省的な歌詞のバラード。
11、袋小路のどぶねずみ :8
9分におよぶ大曲。歌詞も自身の半生を綴ったかのような内容で、非常に衝撃的。構成的には単調だが歌詞に引き込まれる。
12、底なしのブルー :8
歌詞、楽曲ともにヘヴィーな曲。サビは他の部分と違って開放的。
13、すれ違う流れ :7
静かなバラード。最後の曲なのに詞は悲しい。

ZIGGYのVo森重の3rdアルバム。

森重のメロディーメイカーとしての才能は、ZIGGY初期から高く評価されているが、この作品でもメロディーのよさは健在である。M1、M7などは絶品である。
サウンド的にはZIGGYとはベクトルが異なるものの、基本はハードロック・グラムロックであろうか。しかし、ZIGGYよりはシンセの比重が高い仕上がりである。ZIGGYが2人で活動していた時期にサウンドは近い。
また、森重の詞の世界はとても独特である。観念的・哲学的でやや高尚な内容である。

楽曲の仕上がりはある意味ZIGGYよりも高いかもしれない。ZIGGYより確実にGuが上手い。
HRな曲はZIGGYから泥臭さが消えた感じで、ポップな曲も散見される。

BAAD B−SOUL
1998・9・23発売
3rdアルバム。約3年ぶり。

アニメ「SLUM DUNK」の主題歌でおなじみのBAADであるが(主題歌は1stに収録)、このアルバムでは彼らルーツと思われるVAN HELENぽいテイストを存分に味わう事ができる。M3のKeyのイントロなんかはかなりVAN HELEN臭い。M7のGuのアプローチなんかもそうである。
VAN HELEN臭くない楽曲も、アメリカンハードロックテイストである。M12などは、ちょっと古臭いアメリカンロックといった雰囲気だ。

楽器隊のテクは特に凄いと思わせるものはないが、確実に上手いプレイを聞かせてくれる。ただ、少しカッチリしすぎて面白みに欠けるかもしれない。

ちなみに、Voは今作から別の人間になっている。VoチェンジするとこまでVAN HELENを真似ようとしたのであろうか。とはいえ、かなり声質の似ている人間を連れてきている。ここらへんは、いかにもBeingといったところだ(WANDSでも似たような声のやつを連れてきている)。

黒夢 CORKSCREW
1998・5・27発売
オリジナルアルバムとしては最後の作品。
この年いっぱいで黒夢は解散する。

Gu臣の脱退後、徐々にパンク色を強めていった彼らであるが、この作品で頂点を迎える。
筆者が苦手とする「〜コア」な作品ばかり収められた1枚である。にもかかわらず、一時期筆者は毎日のようにこの作品を聞いていた。何故か。
答えはGuの音にあると思われる。
普通、パンク・メロコア系の音は比較的薄っぺらい音質なのであるが、この作品は総じてアメリカン・ハードロックを思わせる図太い音である。このあたりが筆者の心に訴えるものがあったのだろうか。
パンク・メロコアが大好きな人がバンドを組むと、確実にこのアルバムから何曲かコピーをする。筆者はこれまでに多くの黒夢コピーバンドを見てきたが、Drが超高速なのと、Baがかなり動くのでちゃんとコピーできているバンドは存在しなかった。
とはいえ、パンクキッズの入門盤としてはオススメである。

詞のほうもこの作品は非常にパンク色が濃い。安っぽいラブソングなど存在しない。かなり社会を斜めに見たもの、メッセージ性の強いものが多い。

しかし、黒夢がここまでパンクなバンドとなることをメジャーデビュー時に想像した人はいるのだろうか。筆者が見てきたバンドの中でも、ここまで激しく音楽性が変わったバンドは他には存在しない。

SUPERCAR スリーアウトチェンジ
1998・4・1発売
1stアルバム。SUPERCARは青森出身で男3人女1人の4人組。

癒されるアルバムだ。
ほんわかしたVo:中村の声にかわいらしいBa:フルカワの声。
抑揚を排除したようなメロディー、ウェットなGuサウンド。
そして、素朴な歌詞。
青空と小高い丘と緑が浮かんでくるような雰囲気である。

サウンド的には、ブリティッシュ系ギターポップ。ただし、ブリグリあたりに比べるとよりポップで明るい。
個々の楽曲は、当時の年齢などを考慮したらなかなか良い出来だと思う。どれもポップで分かりやすい。紅一点のフルカワも歌えるため、男女のVoを上手く絡めた曲もあって面白い。
ただ、19曲も入っている上にやや没個性な曲が並んでいるので、中盤あたりでは何がなんだかわからなくなるのが残念だ。
ギターのフレーズなどに見るべきところはあるが、演奏は劣悪。リズムが安定しない曲、フィルがばたばたしている曲がいくつかある。デビューが決まった時にあまりに下手くそだったために、1年間修行に出されたという話も頷ける(笑)。

曲はM1「cream soda」M2「(Am I)confusing you?」M4「DRIVE」M8「Lucky」M9「333」M18「HeLLo」あたりがいい。
日常に追い詰められていると感じる人には、是非オススメしたいアルバムである。

L’Arc〜en〜Ciel HEART
1998・2・25発売
1、LORELEY :10
ドナウ川の情景が浮かんでくる秀逸な曲調が最高。hydeの下手っぴsaxも(笑)。
2、winter fall :8
こちらも冬っぽい雰囲気がいい。ストリングスがゴージャス
3、Singin’ in the Rain :7
ちょっぴりジャジーかつおしゃれな仕上がり。このアルバムの中だとインパクトが薄くなるのが残念。
4、Shout at the Devil :9
勢い一発。イントロとサビ後半のベースラインはかっこいいけど全体のバランスからは微妙。
5、虹(Album Version) :9
kenの才能はこういう曲を作れる点ではないか。シングルより中間のしゃべりの音量が大きい。
6、birth! :10
絶妙な歪み具合のGuによるバッキングがいい。開放感あふれる楽曲。
7、Promised land :9
モータウン調だがやや暗めな雰囲気。ディストーションボイスのしゃべりの絡み具合が最高。
8、fate :8
サビメロの存在感がすごい。ものすごく冷たい感じのアレンジ。
9、milky way :8
tetsu作詞の甘ったるい歌詞が恥ずかしい。B級アイドルが歌ってそうな雰囲気のメロディー。
10、あなた :9
サビのhydeのファルセットはさすがという印象。ラルクバラードの最高傑作かも。

メジャー4枚目。

新メンバーに元ZI:KILL(By−Sexualだったかも)のyukihiroが加入して最初のアルバム。まだ、今作のレコーディング中は半ばスタジオミュージシャンの位置づけだったからであろうか、あまりDrプレイに関しては後の作戦でみられるような個性に乏しい。それでも、M4あたりではyukihiroっぽいプレイを聞く事ができる。

この作品では新たな試みがいくつもみられる。M1ではhydeがSaxをプレイしているし、M7ではモータウンビートの導入、M9ではtetsuが作詞といったところが主なところだろうか。
実験的ではあるが楽曲のレベルは今作もかなり高く、スキップなしで最後まで聞きとおせるのは前作同様である。ただ、前作にくらべ手の込んだ作りの作品が多いのは、半年の休養期間にじっくり曲を練ったからであろうか。

この作品で、ほぼラルクの楽曲のイメージが出来上がったといってもよいであろう。次々作のシングル3部作からはイメージから離れた作品構築を模索し始める。

BOOWY THIS BOOWY
1998・2・25発売
BOOWY解散10年を記念して発売されたベストアルバム。
商業的な臭いは否めないが、BOOWYはこれまでシングル集しか発売していなかったので、大変ありがたい。
曲は3rdアルバム『BOOWY』以降のものから選ばれている。

このアルバムを聞いて最初に受ける印象は、音がショボくないということである。普通、1980年代以前の作品を聞くととても音質的にショボく感じてしまうものだが、このCDに関してはそんなことはない。これは、なによりデジタルリマスタリング技術のたまものである。
この作品に限らず、比較的古い曲を集めたベスト盤で最近発売されたものには、たいていデジタルリマスタリング処理が施されているので、原曲と聞き比べてみると面白い。

しかし、このバンド、すでに解散してから13年になる(筆・2001・9)が、そのカリスマ性はすこしも衰えない。この作品も解散して10年になるのに100万枚以上も売れたのである。来月にはラストライブのビデオが発売される。

BOOWYの存在が現在活躍しているロックバンドの多くに影響を与えたということは、いまさら多くを語る必要はないであろう。

favorite blue Missing place
1998・2・18発売
2ndアルバム。
シングル曲が全10曲中5曲を占めるなど、さながらベスト盤の様相を呈している。

当時のavex系のブームにのってそこそこ売れたのがこのfavorite blueである。サウンド的には、ELTと似通ったものであるが、どちらかといえばノリの良い曲がELTより多い印象を受ける。


Vo:松崎麻矢のクセのない歌声と、無機質なマシーンビートがうまくマッチしてここちよく聞こえる。が、リスナーをひきつけるものは感じられない。詞もありきたりなラブソングがほとんど。ルックスは元モデルというだけあってかなりのものだが。
サウンド的には、かなり似たような曲が多い。しかし、スローな曲を排し、テンポ110〜140あたりの曲ばかりで構成されているので、テンポよく聞くことができる。ユーロ系・ハウス系の打ち込みキーボードの人間には参考になろう。
あと、もうひとりのメンバーの木村貴史、意外とGuがうまい。

サウンド的にELTとかぶってしまっているのが、結局生き残れなかった原因であろうか。ELTのほうが先にヒットしただけに、後発の悲しさである。ちなみに、解散原因の一つとして男女関係のもつれがあったとも言われているらしい。

なお、現在松崎はmamy dropというユニットで、木村はmoveの一員として活躍している。



■洋楽

〜NOW CONSTRUCTING〜